先週初診の新患さん(他院LT肝斑増悪患者さん)のことです。症状は,ひとめ見ただけでわかる両頬のLT肝斑増悪です。患者さんの弁によれば,顔のシミの相談で大手美容外科の大阪院を受診したところ,院長が診察して「肝斑だからLTをやりなさい」ということになったそうです。2週ごとに10回LTを受けたのですが, LTを受けるたびにシミは,良くなるどころかだんだん濃くなってきたということです。そこは,毎回担当医が変わるそうです。10回目のLTの時に,2回目に当った一番若いドクターがこっそりと紙切れをくれて,「うちに来るのはやめてここへ行きなさい」と言ったそうです。その紙に「葛西形成外科」と書いてありました。患者さんはもう1回院長の診療を受けようかとも迷ったが,結局葛西形成外科に来た。とのことでした。「そこの院長の診療を受ければきっとLTをもう10回やりなさいと言われたでしょうから」と言います。「あそこの先生たちは,みんな院長にはさからえないから何も言えないのよ,きっと」  おそらくこの患者さんの言う通りなのでしょう。LTをやっている商業的美容医療機関はどこも,シミの患者とみれば機械的にLTをやっているのでしょう。しかし,今回の「若いドクター」のような先生が出てきたことは,私にとってみればおどろきであり,また,頼もしく思います。  患者さんには,「あなたも大変だったけれど,これでもう大丈夫ですよ。きれいになりますよ。ひどいめに会いましたけど,うちを紹介してもらって良かったと思いますよ」と伝えたところ「そうですね。きれいになれば,それでいいのですから」と,やっと笑顔が戻りました。LT実施医療機関の勤務医のあいだにも,LTの有効性について,本気で考える人が出てきたことは,私にとって大きな喜びであります。