2月20日に出版された「EBM皮膚疾患の治療up-to-date(宮地良樹先生編、中外医学社)」の分担執筆者として、「肝斑にレーザーは有用か?」の項を書かせていただきました。この本は、全国の皮膚科の有名な先生が、いくつかのトピックに対して、EBM(Evidence Based Medicine)の立場から解説するというたいへん有意義な教科書です。昨年、この本の分担執筆を拝命してから、国内外の「レーザートーニング」関連の文献を多数調べました。かなりの数の論文が見つかりましたが、どれも「エビデンスレベル」が低いものばかりでした。特に、治療予後について、治療中止後の経過を追っていないものがほとんどで、逆にきちんと予後を追っている論文は3~6ヶ月で有意差がなくなる(効果が見えないくらいに戻る)と述べているのが印象的でした。副作用については、単純に「副作用はない」と書いているいいかげんな論文が多いのですが、きちんとした論文ではかなりの種類と例数の副作用の記載があり、特に白斑は難治であると書かれていました。冷静にEBM的に考えてみると、レーザートーニングはとても美容皮膚科の施術として「良い」とはいえないのですが、なぜか日本では「良い」治療として広く宣伝されています。不思議なことです。