先日、キュテラ社製ピコ秒レーザー「エンライトン」による肝斑増悪の副作用報告をPMDAに送りました。PMDAに副作用報告を送ると,PMDAは責任販売業者(今回の場合キュテラ社)へ報告書を転送し,調査と対策を指示します。それを受けてキュテラ社は,調査して注意喚起を出す方向で動いているのでクリニック名を教えてくれと言って来ました。キュテラ社がこの問題に誠実に対応しようとしているのであれば,それは素晴らしいことです。  2015年にメドライトC6のレーザートーニングによる肝斑増悪の副作用報告を4回に分けて合計22例送ったのですが,転送された報告書を受け取ったJMEC社は「副作用症例は自社が販売したメドライトC6によるものと特定できない」という理由で報告書をPMDAに突き返し,何の対策も取りませんでした(PMDA担当官談)。これに比べると,キュテラ社の対応は格段に誠実な対応に見えます。しかし,よく考えてみると,注意喚起はとりあえず全ユーザーに対して即刻行うべき事であって,クリニックを特定する必要ありません。  筆者は厚生労働省の呼びかけに従って,副作用情報をPMDAに報告しましたが,患者さんの了解はもらっていません。4人の患者さんは,今後当該クリニックとキュテラ社を相手に裁判を起こす可能性があります。その場合筆者は患者側につきます。裁判の相手側に不用意に重要な情報を流すことはできませんから,キュテラ社にはこれ以上の情報提供はできないとお断りしました。  筆者の警告を現在に至るまでことごとく無視してレーザートーニングを宣伝し続けているJMEC社に比べれば,誠実な対応を取っているかのように見えるキュテラ社ですが,現在でも,エンライトンによる肝斑治療の旗振り役の医師によるセミナーの参加申し込み受付を続行しています(2018/6/29 8:34確認)。