09. 2013年日本形成外科学会総会ミニシンポジウム
2013年4月4日、日本形成外科学会総会ミニシンポジウム12「肝斑に対する治療戦略」において、筆者はレーザートーニング(LT)の危険性について発表した。LT推進派4名に対し、反対は筆者のみであり「完全アウェー状態」の中ではあったが、LTによる肝斑増悪症例の報告を中心にLT反対の意見を述べた。正式な学会でのLTに対する反対意見の発表はわが国では初めてであったように思われる。
会場は開始前から異様な熱気に包まれ、満席・立ち見の聴衆も会場に入りきれずに、扉を開放して会場前のホールにまで人があふれていたのを覚えている。4番目の発表者Y医師の「トーニングがベスト」という発表から5番目の筆者の発表にかけて、熱気は最高潮に達したように思われた。筆者はもともと「完全アウェー状態」の中で、短い発表時間でLTの問題点を聴衆に十分伝えきれるとは思っていなかった。むしろ、正直にいえば、「この人なに言っているの」という感じで無視されるのではないかと恐れていた。しかし、実際には、LT推進派ばかりが声を上げている学会内においても、LTの有効性に疑問を持っている医師が多いことに気づかされた。シンポジウム終了後も、幾人もの医師から賛同や励ましの言葉をもらって、ほっとしたのを覚えている。
(2015/1/25記)